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不動産に関する登記は、法律に別段の定めがある場合を除いて、私人が行う申請または官庁もしくは公署の嘱託がなければすることができません。(不登16Ⅰ)。すなわち、法律に別段の定めがある場合は別でありますが、不動産の取得、設定等の権利の得喪は私人間からの申請または官庁もしくは公署からの嘱託によらなければ登記手続をすることができない(一般に「申請主義」といわれている。)ということであります。
嘱託による登記は、物権の得喪の当事者の一方である登記権利者あるいは登記義務者が官庁または公署である場合の登記請求の手続きである(不登116・117)。登記する事項については、嘱託による登記であろうと、申請による登記であろうと変わりありませんが、登記の手続の方法については、判決による登記の請求(不登63)と同様に、申請による登記の請求とは異なった取扱いがされています。
私人間の登記請求行為については、登記の真正を担保し、虚異の登記を防止するということから登記権利者と登記義務者の共同申請によるのに対して(不登60)、官庁もしくは公署が登記権利者あるいは登記義務者の場合には、嘱託書は公文書であって、官庁もしくは公署が行う行為に誤りはないという信憑性があることから登記権利者あるいは登記義務者との共同による登記請求でなく、官庁もしくは公署が単独で登記の請求をすることが認められています。(不登116・117)。また、この信憑性の表れとして登記義務者の登記請求の意志を確認のために登記の申請書には、登記済証・登記識別情報の添付が求められているのに対して、嘱託書には添付が求められていないこともその一つであります。